バチバチバチッ
[派手な音と共に弾けたスパークに飲まれ、雷狼が遠吠えを一つする。
刹那、ぐ、とその背が盛り上がり、そして、巨大化する。
傍らの男と肩口が並ぶほどにその身を成長させた雷狼は、低く唸って牙をむき出しにする。
男は広がる波紋がつま先に触れる瞬間、それを避けて飛び上がると、雷狼の背に流れるたてがみに捕まり、その背に跨った。
同時に強く大地を踏みしめ、跳躍する雷狼。
雷狼が、その足で踏みしめた大気が、バチバチと火花を放ち、それを足場に跳びまわる。
一歩、二歩、三歩…
段々と高度を下げる雷狼が、宙を踏めるのはせいぜい10歩にも満たないだろう。*]