にがさない。
[ヴィンセントを見上げる天色の瞳の瞳孔が急激に細まる。
背の翼が畳まれ、メルヒオルの身体が再び変化し始める。
体表は元に戻り、太く長い尾は細くしなやかなものへ。
足は脚力に優れた山猫のものへと変化した]
<我が身支えよ、薄氷>
[呪を紡げば、山猫の足の下にキラリと光る板状のものが現れる。
力を込めて蹴り出すと、パキンと甲高い音を響かせて砕け散った。
それを幾度か繰り返し、跳躍によりヴィンセントへと迫らんとする。
しなやかな尾をくねらせ、跳躍のバランスを取り、ランスを繰り出すべく後方へと右腕を引いた*]