……。
[ テオドールは無言のまま、汚れていない方の手で、
顔を覆った。
イングリッドの言葉を聞いていた。 ]
……お前が、俺にカスパルの影を重ねていることは感じていた。
[ ソマリアランもとは思わなかったが。
というか、あの放蕩者よりどう見ても俺の方が男前じゃないか、
……と思ったが黙っておく。
最強剣士の名も、初めて惚れた女の心も、ソマリアランがいまだに持っていると思うと、
この歳になっても、さすがに堪える。 ]
今は違う……?
そうか。
[ ため息をつき、顔を覆った手をずらして、
言葉を押し込めるように口元を覆う。 ]