[放った銃弾は、先程と同じ様に翼に着弾したかに見えた。
だが、先とは違う片翼の動きに、感じた違和感の理由に気付き。
それによって新たな疑問が生まれた]
(おかしい)
[違和感の原因は、翼。
ほんの数箇所朱に染まった部分、そこにあるべき鱗が無い。
恐らくあの鱗は硬くはあれど、衝撃を受ける角度によっては剥がれてしまうのだろう。
それは解った。解らないのは彼の考え。
私の知る彼ならば、傍目にも明らかな綻びをこんな無造作に見せたりしない。
見せたところで利点など無いはずなのに、何故隠さないのか。
疑問を口に出す隙は無く、こちらに向かい来る彼の翼、鉤爪を避ける為屈んで]
─── せいっ!
[足払いをかけようと、左足を振りきった*]