[行く先もなく森の中で迷子になり、寒さと孤独、死ぬかもしれない恐怖。
何より、殺しに来るかもしれない大人達に怯えて泣いていた。
ただただ怖かった。泣いて泣いて泣き続けて、疲れ果ててしゃくり上げていた。
見付かったのは泣き声で見付けたのか別の理由か。
『早く見付かるといいね』>>7:193
と言われながら撫でてもらった手は、とても優しかったのを覚えている。
その一言が嬉しかったから。へにゃりと笑って頷いた。
その後一緒に行動している間は、泣かず、喋らず、質問されても俯くまま。
下手なことは言えなかった。煩いとは思われたくなかった。
家がないと言えば、折角向けて貰った温もりがなくなってしまうと思った。
だから、何も言えず、何も言わず、ひたすら罪悪感を抱え込む形になってしまった。
それでも、その価値は充分にあった。
罪悪感よりも、温もりが心地よかった。
その後あちらの理由だったか、自分が走り出して捲いてしまったのかは忘れたが。
兎に角途中で別れてしまったけれど。
あの頃のことを、謝りたいとずっと思っていたから。]