─ 月の舞台 ─
[>>*21己目掛けて駆けてくる蛇竜の瞳に、初めて交わした中にあった臆する色は見当たらず。
に、と満足気に口端が上がったのは雷鳥竜にとっても無意識の内。
全てにおいて上を持する雷鳥竜を、己が意志で乗り越えた海蛇を最後まで対峙して]
…あぁ。
麗玉の海蛇竜。
煌玉を制し、皇玉を降した。
此度の舞台は、其方の勝ちだ。
[>>*22呆然と、未だ理解が追いついていない様子の竜へ。
これまでずっと、座など飾りと言い続けた翠が、座を越えた竜の勝利を讃え告げる。
ようやく事の把握が追いついたらしき竜が得物を手放したおかげで、肩を貫く刃は無くなりこれ以上傷を開く恐れも消えたのだが]