[ 体勢を崩しながらも、刀の直撃を避けようと動いたディークの肩に刃は滑り、傷を刻む ]
は...!逃げ足だけは一人前になったか?くそ餓鬼。
[ 遠慮無く、腕を斬り落としてやる気で叩き付けた刃だ。傷は負わせても、相手が五体満足でいる以上、男にとっては「逃げられた」という認識になる。
しかし、浮かんだ表情は悔しさや怒りではなく、あくまで愉しげな笑みだった ]
ゆっくりしている暇はないぞっ!?
[ ディークが転がって距離を取るのには、追いつかなかったが、男は間髪入れず再び駆け出している。
糸を掴んだ事で半分以上千切れかける程の裂傷を負っていた右手は、まだ充分には動かない。それ故、左手で握ったままの刀を肩に担ぐ形で、一気に距離を詰めようとする。
搦手を使うなどという思考は、この男には欠片も無い* ]