[リエヴルは入学した時から、既に独自の剣を覚えていた。
しかも、模擬剣を想定しての剣技ではない。
右手で突き、左手で相手の攻撃を流す。
実際に武器――右手にレイピア、左手にマンゴーシュを持つことを想定しての動きであった。
両手持ちで剣を使うことは、むしろ入学当初は戸惑ったくらいだ。
そんな生徒に対し、武術教官は果たしてどのように教えたことだろうか。
リエヴルにとって、左は守りの剣。
相手の攻撃をあしらい、流すことに特化している。
無論、攻撃として薙ぐことも出来る。
故に、左一刀とはいえ、それほどの不安は感じてはいなかった。]