危険な魔女というよりかは、牙を抜かれた狼のようですね。[率直な感想が、知らず“赤い声”として零れ落ちた。この声の主達からは、背筋を震わせるような覇気も、ワインの中に沈む一滴の毒のような悪意も感じ取れない。声音に微かに混じるのは、嘲りと呆れの色。それでも、聞こえてくる声が聞き覚えのあるものだという事実には、思案せずにはいられない]