[ふと見れば、猫は不満そうに水をなめている>>+31。しかし残念ながら、テオドールには猫が何を不満に思っているのかは見当もつかなかった。
しばらくすれば、猫は雑貨屋の中をうろうろし始めた。カウンターの前の椅子に座り、その様子を眺めていると、猫の視点がある一点で止まる。]
ん?ああ、これは、小物入れだね。気になるのかい?
[立ち上がり、見ればそれは小さな宝石箱。気にいったんだろうか、とそれを手に取り、猫の前に置く。]
そういや、この小物入れ、昔おばあちゃんが買ってくれたなあ。
何を入れてくれてたんだろうな?
[猫にそう問うが、猫は答えただろうか。答えたとしても、人間のテオドールにその言葉はわからない。]