[最期まで聞かずその場を去ろうとした自分を、>>*13「それに――…」と思わせぶりに途切れた声が、引き留める。
振返って、言葉を待つ。続いた言葉は、途切れた言葉の先に続く言葉では無い様に思えた。
隠した言葉を問い詰めようか、一瞬思ったけれど、止めにした。]
…そう。キミはそう考えていたんだね。
けどね、「おおかみとおおかみ」でも、僕は、ダメみたいだ。
だって、ほら?
キミの言葉を素直に信じる事なんて、僕にはどうせ、できやしない。
[くしゃりと、泣き出しそうに歪めた顔で無理矢理笑って、再び背を向け、歩き出す。
おおかみとして目覚めたところで、彼との距離が近付いた気はしない。
彼が自分を受け入れてくれるだなんて、夢にもおもえない。
自分を択んでくれる誰か、は、この世界にはもう、きっと、居ない。*]