― 回想・赤い囁きに ―
[久しぶりに呼ばれた名前を耳にした途端、ふるりと体を震わせる。
どうして今まで忘れていたのだろう。大切な、とても大切な名前だったのに。]
・・・。
[前を歩く白い狼に向けた視線を、一旦外して宿屋へと向ける。
其処にいる三人の仲間と、今回再会できなかったもう一人の仲間。
そして新たに加わった、今一緒に行動している仲間へと視線を向けた。
問いかけられて答える名前に、そうかと頷きを返す。]
リースヒェンか。改めてよろしく。
[名を告げると同時に姿を消した白い狼を見て、不意に不思議な宴の終焉が近づいているのだと悟り。胸の中を一抹の寂しさが過ぎった。]