[ ……しかし、 やわらかな時間は、テオドールの突然の咳によって破られた。 ] ……ッ! ……ッ、ッ![ イングリッドを押し退けるようにして身を折る。 長く激しい咳がやっと止まり、テオドールは口許を拭い、 中の色を隠すように握りしめた。 ] ……なんでもない。下がれ。[ 急速に覚醒する意識で、退出を促しかけて。 ]