[ ナーくん、と最初に呼んだ時、彼は、それは誰のことだ?と言いたげな、不思議そうな顔をした。
けれど連呼するうちに、あっさりその呼び名を受け入れて、占い師の事も愛称で呼ぶようになった ]
[ ルト、と、呼ばれるのは、どこか懐かしくて嬉しかった。だから、誰にも話さなかったリングの記憶の話もしたのだろう。
彼が元気だと安心した。どこかで、失くした記憶と重ねていたのかもしれない ]
[ 仔猫のリアが、時々リングにじゃれついていたのは、或いは、ヴェルナーと消えてしまった誰かは違う、と、占い師に思い出させるためだったのかもしれない ]