[ そうして、ひととおり、互いの様子を伝えあった後 ]
ローズマリー。
[ 蒼龍との会話の間は、恐らく控えていただろう妻の名を呼ぶ声は柔らかい。先にその変化を当代応龍に微笑ましいなどと評されていたのは知らぬことだったが ]
今ひと時は、皆をゆっくり休ませたい。其方の歌を所望できるか?
[ かつては歌わずの姫などと呼ばれた事もある先代孔雀の歌姫たる妻の歌声は、新年の寿ぎの折に貝に封じて天帝へと献上したきり、直接に聞いた者は神仙の内にも少ない筈だ。
良い機会だろうと、口にした望みは、無論、その声が、何より己の力の源となるとも、知るからこそのものだった* ]