よう、王子様。
[ 事が収まり、夢の世界から現世へ、戻ろうとしたその時、カナンは闇に包まれた。
目の前には、青白い炎で象られたような九尾の狐の姿が浮かびあがる ]
あのぼーずに任せると、肝心なとこを端折りそうなんで、ちょいと一つだけ教えておいてやろうと思ってな。
ああ、心配しなくていい、他の連中と戻る時間は合わせてやるからさ。
[ 光る獣の姿の表情は判別できない。けれど、にやりと笑う気配がした ]
俺が、あのぼーずに身体を借りた理由のひとつは、あいつが冥界...お前さんたちの言う黄泉路に近付いて俺の気が馴染みやすくなってたせいだ。
つまり、同じ条件なら、あいつじゃなくても構わなかった、てことさ。
[ だから、お前さんもせいぜい気をつけな、と、楽しげに言う声が聞こえたと同時に、闇も狐も、カナンの周囲から消えた* ]