―回想―『要するに、檻に狼と羊をこめちゃならない。 ただそれだけの、実に簡単なはなしさ』[故郷での人狼騒動の発端は、村一番の楽天家が祭りのために呼ばれた吟遊詩人に喰われた事だった。 いやに古めかしい吟遊詩人ぶりは芸人ゆえかと思っていたが、見た目より長く流離っていたのかもしれない。 彼は悪びれるもせず言ったものだ。『自然に逆らってどうする? 月の満ち引きがどうして止められよう!』]