[そう言われた母は、産婆の言う通り、乳飲み子の体毛が
錆色に変わったのを見計らってこの村に戻ってきた。
そして二度と故郷の村に戻らぬよう強く言いきかされて、追放された]
『ヴァルター、あなたの血はあなただけでなく、
皆に、仲間にも人間にも不幸を齎す可能性があるの。
だから……狩の時には気を付けなさい。
牙を立てる時に、注意しなさい』
[何度も何度も母から言いきかされた。
どんな不幸が起こるのか、成長し、街へ行く際に初めて教えられた]
『大事な者が出来ても、共に生きようとしてはいけない。
いつかその血はその大事な者さえ、噛み殺すかもしれない』