『これは…先祖返りですね』
[白い体毛で覆われた赤子を取り上げた人狼はそう言って眉を顰めた。
父の血に上位種がいたのだと言う。
ただそれこそ数代以上前の話で、
他の血と交わることで薄れていたと思われていた]
『白い毛は、そのうち紅く染まるでしょう。
人間だけでなく、同族にすら牙を剥く上位種の魂を隠すように錆色に。
ただ気を付けて下さい。
錆た牙は……一度同族の血を啜り、肉の味を覚えれば、
強い飢餓に襲われ、人間より同族を襲うようになります。
使いこなせなければ身を滅ぼす牙。
気を付けて下さい……』