……真っ向勝負……受けて、立つ!
[竜爪を目がけて振り下ろされる拳は、その色を赤から黒へと転じて行く。
それと真っ向打ち合うように、こちらも爪を振り上げた。
二つがぶつかり合った直後、真珠色の煌きが一際強く閃き、光帯びた風が嵐さながらに荒れ狂う。
猛々しいそれは、けれど、どこか幻想的な光の彩を織りなすもの。
その彩の内、振り上げの一閃で拳を打ち払った後]
……っせい!
[羽ばたきから高度を取り、くるり、返した爪を巨躯の左の肩へ向けて振り下ろす。
竜の血が導く自然のそれに限りなく近い風と、人の血が齎す魔力帯びた光。
それらを纏った一撃が月なき空の大気を、その先の巨躯を引き裂いた。*]