>>-1274>>-1275 エレオノーレ
[緩やかに引き抜かれる刃に、再度低く唸り。
迫る唇に咄嗟に首を庇おうとしたが、間に合わなかった。刹那に走る恍惚]
――――――…ッ!
[首筋からの吸血は、特定の相手にしか赦さないことにしているのだが。それを言えば彼女を悦ばせるだけのような気がして、唇を噛んで堪える]
……個人的な信条も、ありまして。
[ぐったりと零す男は、渇いた笑いを浮かべた。
彼女の興味はまた傷を作ることへ向いたようで、未だ"まし"――なんてことはなかった。
二重三重に刻まれていく赤色。掠れた悲鳴を漏らしながら、知覚は遂に限界を超えて神経を侵し、冷や汗が全身を伝い指先は痙攣したように震えている]