― 水中にて ―[灼熱の銛が深く静かに身を貫き、穿つ。肉を抉じ開け、奥深くまで分け入り、魂までも串刺しにする。] (ああ ディーク) (あつい)[白い人魚はゆるやかな律動に揺れ、己を漁った男もろとも水中を旋回して浮遊した。悦に揺らされ、ひとつ喘ぐごと唇から洩れるは、もはや泡の粒ではなく。水で満たされた肺と喉は、水棲の水音で紡がれた歌を歌う。光も届かぬ闇を、漂いながらどこまでも落ちて堕ちて、やがて水底に、仄明かり宿したからだをしろじろと横たえた。]