― 地底湖 ―>>-1185[痺れるほどに清冽な濃藍に漂い、けれども、偽りの生をまねぶ肉体は、その中にあって染まらず、変わらぬ温みを宿す。それを標と絡む指に、彼我の境をなぞる灼熱に、男の腕の中で白い人魚は撓り撓み。ゆっくりと花開いて、その淡く色づく内側を晒す。微温を分け与え、包み込もうと繊手を伸ばす。] (きて)[見据える緋色に水妖《セイレーン》は歌い誘う、この身のうちの海で血と潮を共に響かせて、と]