[顎に手を掛けられ無理矢理上を向かされる。…はびくりと肩を揺らした。けれども顔面に拳が飛んで来る事はなかった。予期せず、自身の唇に柔らかいものが触れる。「狡いです。」と唇から相手を詰る言葉が零れたが接吻で呟きは掻き消される。――果たして本当にそうだろうか。自分は何処かで期待していたのではないだろうか。相手に言われるが侭に目を閉じたのは?なんて、浅ましい。歯裂をなぞるように舐め上げられて…はくすぐったさに思わず唇を開けば自然と口付けは深くなっただろうか。]