[ある日女性がよく立ち寄る酒場へ、見慣れぬ男性の二人組が顔を出した。早速情報収集してみれば、今日街へ来たばかりの旅人らしい。
二人がまとう空気や表情や言動に表れる感情から、かなり親しげな関係だと看破した女性は、早速二人に近づいた。]
ふふふ、こんばんは。あなたたちはこの街に来たのは初めて?
良かったら私が案内するわ。
[いつもと同じく妖艶な色気を発揮しながら、女性は二人を交互に眺める。
その結果、顔に目立つ傷がある素行が悪そうな赤毛の男よりも、神父服をさりげなく着崩した優しそうな笑みを浮かべる黒髪の男性にまず近づこうと決めた。二人を比較した場合、後者が女性のタイプだったからである。
そこで女性は、街のガイドや雑談に花を咲かせがてら、黒髪の男性をさりげなく誉めて熱っぽい視線を送っていたのだが。]