― いつか、夜の帳の中で ― こんばンは[森の中。夜狐の眼差しは昼の蒼天。其は闇をとらえ得るか] 覚えてるよ?[風が吹いて枝がさやいだ。太い梢に、闇と同じ色の小柄な影。天地さかしまにぶら下がる黒衣の兎は、手の中のティーセットをくると回した。陶器の触れる小さな音] ジャン。もう、枷はない 本気を出すコツもわかって来たんだ[首に巻かれた厚い首輪にそっと触れて、地上の狐へ手を伸ばす] 約束─── 食べて いい?