>>-889
[困惑したり、嘆息を吐いたりと忙しい女性の魂胆は見えているのか。
指を押し当てられる前に、少し乱暴にその手を手繰り。
離れた距離を自ら強引に縮める]
なんだ、アリーセはこう言いたいのか?
『貴方が人生を賭けて得たものは、もう人生を賭する価値なんてない』のだと。
──それはあんまりだろう?
[にやりと悪巧みをするような、挑発するような眼差し。
投げかけながら、未だスキュラごしに自分を眺めようとする彼女の行き場を言葉でも制限していく]
悲しい歌に心打たれるのは聴衆だけ。
当事者同士でそれを望んでどうするんだよ、ったく。
[それだけ言うと、あとはさせるがままに。
掴んだ力を緩め、自分の身すら委ねてみせた]