[自分と配下のみだった根城が
今日からは賑やかになりそうだ。
そう思った、その時。
ちらりと視線が合った表情を見て
感じたのは些細な違和感。]
ところでアイリよ、吸血衝動はどうだ?
根城へ向かう前に我の血で補給しておくか?
……牛乳で補うという手もあるが。
[何せミルクも元は血液。
怪しまれずに補給するにはうってつけなのだ。
そもそも吸血衝動で無ければ的外れの提案だが。
今の配下は一人でも、かつては幾人を眷属化したことか。]
まあ、いずれにせよ飲んでおけ。慣れだ慣れ。
[そう言って手首から摂取させるかと
ナイフを自分の左手首に押し当て、
一気に引こうと握りしめた。]