【見】 【独】 吸血鬼 レト

今この瞬間だけ、我輩は『吸血鬼レト』では無く
『レト』という一人の生命体として話をしよう。

カレルが求めていた「横」は、我輩に求めるものでは無いと言ってたな。
我輩も、お前に「横」は明け渡せない。
姿が変わっても 成就する事が無くても 我輩は彼の者以外愛せない。

…だがお前の傍は 心地良くて 何度も主の仮面が割れそうになる。
だが此れは、我輩がカレルを利用している事にならないだろうか。
止まり木で良いと思っていた。寧ろ逆ではないか。
そんな事を延々考えていた。

あと、何故我輩の所有する魔法の箱は
「そばに」を漢字変換すると毎回「蕎麦に」と出てくるのかについて少し考えていた。


終幕の際の際まで、最後まで我輩の傍に居ろ。

此れは「命令」では無い。「望み」だ。
[眠るカレルの手を片方取り、掌に自らの頬を小さく摺り寄せ]