「いやそれ、
……シンシャと群島のいざこざを踏まえると、ややこしさが残らんか?」
「まあ、そうでしょうねぇ。
シンシャの高官各位から、こちらへ苦情やら何やらが来るのは考えられますね」
[国王の問いに、宰相、さらりと言い切った]
「そうでなくとも、こちらは三代続けて、あちらからの『楔』を拒んでいますし。
……古きを重んじる方ほど、こちらに好印象は持たれてはいないでしょう、けれど」
[ここで一度、言葉を切り。
宰相は優雅な仕種で花茶の椀を傾ける]
「あちらが、こちらの『今の風』を拒むのであれば、それはそれで、それまでだった、と。
そう、割り切りを付けるのも、視野には入れておかねばなりません。
……まあ、その場合はギンセイを抱き込む勢いで抑えつつ、様子見を続けているテンガを一気に引き込まねばなりませんから、手間ではありますが」
「……いやそれ、気軽に言うなよ」