― 幕間/シュタイフェ・ブリーゼ派遣後のユウレン王宮・宰相執務室 ―
「……で。
出航間際の慌ただしい所に、宰相権限であれこれ捻じ込んでったのは、どーゆー理由なわけだ、メル殿」
[軍務総括の問いかけに、宰相は花茶を準備しつつ、薄く笑んだ]
「……『糸』を繋げておくのも悪くない、と思ったまでですよ」
「……『糸』?」
[聞き返す国王にも、にこりと笑んで。
宰相は手際良く淹れた花茶を、二人の来訪者へとすすめる]
「シンシャが海洋開発を進めて行けば、遅かれ早かれ、群島とはぶつかるでしょうね。
それがどのような形であるとしても、ただ、真っ向からぶつかるだけ、というのは芸がないでしょう?
あちらとて、一枚岩の同盟ではない……内から揺らすための道作るための『糸』はあってもよいか、と思えましたので」