[昔を懐かしむ声音は酷く穏やかな物で。>>-390
忘れてたんじゃなかったのか、と口を閉ざす。
それをどう勘違いしたのか苦笑し、なかったことにでもするような口振りに頭へ一気に血が昇る。]
……覚えてるに決まってんだろ。
プリンとかゼリーとか余ってた時にじゃんけん勝負になって、
大河がいっつもわざと負けて俺に譲ってくれたりとか。
同じおかずでも肉とか若干大きい方をさり気なく渡したりとか、
俺の苦手だった人参引き受けてくれたりとか。
全部全部覚えているんだからな!
[襟首に左手を伸ばし、引き寄せると無理矢理視線を合わせる。
額が突き合った状態で怒鳴り、近過ぎてろくに焦点も合わなかったが顔を離す気は毛頭もない。]
あの時勝手にいなくなって、俺がどれだけ……。
[寂しかったと思ってるんだ、と。興奮のあまり双眸を潤ませた。]