……酔っ払い?蹴り出してしまえ、そんなもの。
ふふ、何時まで私を待たせる気だ、飢え死にでもさせる気か?
――おい、起きろ。閉店時間だ。
[銜え煙草の侭に角のカウンター席で突っ伏す男の肩を揺する。
多少灰が掛かったやもしれないが、知った事では無い]
摘み出されるか自分の脚で歩くか、択ばせてやる。
聞いて居るか?起きろ、おい――…
[この後食事を共にする約束をしていた。昔付き合った男の店。
流行ってるのか、寂れているのか良く判らないのになかなか潰れない都会の場末のバーの、片隅。
化粧と煙草を覚えて、ほんの少し酒を嗜むことを覚えて
…けれど結局、何も変われない侭に、
『彼』らの前から姿を消した女は、そんなところに居た――*]