サーカス団の同僚の話だろうか(恐らく気になっている男だろう)、彼女からいろいろなことを話し始めた。曰く鈍い、子供扱いする、などなど愚痴と言ってもいい代物ばかりだ。そこで、ディークはふと口にした。ーそいつのこと、嫌いか?曲芸師は弱々しく首を振り、いいところもあるの、と言った。この発言がいけなかったのだろうか、曲芸師は怒涛の勢いでその男について語り始めた。そのときの曲芸師の顔が輝いていたのにディークは気がついた。ー(なんだ、やっぱりそいつのことが気になるんじゃねえか)