[――何がそんなに恐ろしいかって?]
[恐ろしいに決まっている。朦朧とした意識を覚醒させられたと思ったら、指の間から見える姿は顔の半分が青い毛をした獣だったら。恐ろしいに決まっている。
―これほど、恐ろしいことはない。]
なあ、カシム。
もしかして、お前サン銃の使い方も知らないのか?
なら、手前サマが教えてやろう。
[ぶんぶんとカシムが必死に頭を押さえつけられている中で首を横に振るが、テオドールはお構いなし。
男の左手が、構えた銃に添えられて、銃口がクルリとコチラに向く。
右手を滑らせてカシムの首に移動させると、彼の眉間にぴたりと銃口を突き付ける。]