― モアネット 〜霞草〜 ―……。…ジーク、[ノックをして彼の執務室に入り。開口一番、ジルは溜息混じりに彼の名を呼んだ]まったくもう。気づいているかい?また…眉間に皺が寄っている。[少し睨むような心地で若草を見つめた後、ジルは呆れたように肩を竦めた]政務が大事なのは分かる。集中して急ぎでやらねばならぬことも多いんだろう。頑張れば――国は、民は、それだけ早く、満ち足りた生活を送ることが出来るようになるのだからね。