―狭間―
[何時の間にか紗幕の先の世界で感じられる気配は増えていた。
濃紅色の髪の持ち主は巫女姫とクロード・ジェフロイの会見の際に見た姿と重なる。
そうしてその人物と言葉を交わす壮年の男性にも顔を合わせた覚えがあって]
…ヴェルザンディ、と
クレメンス殿…ですか?
貴方達も此方に…。
[呼び掛けつつも、ここがどんな者が集まる場所か知った女は枯色を伏せる。
女の姿は兜のない甲冑姿。
故に見た目からはすぐに女だと分からないかもしれない。
彼らの話していた内容は微かに聞こえたが、ヴェルザンディが移世に戻れる可能性がある事は知らず。
只、ヴェルザンディの魂が他とは違う様子である事は漠然と感じ取っていた。]