ふふ、見てたよちゃんと。
可愛いわんちゃんだったね。
そうか、僕と友達になりたいと、頑張ってくれたんだね。
なら僕は最初から素直に、君と友達になりたいと言えば良かった。
君と仲良くなりたくてね、僕は君にひとつ嘘を吐いてしまったんだ。
僕は本当は狼なんかじゃない。
ある人の力でほんの一時だけ、狼の姿をしていただけなんだ。
そう、君と一緒でね。
[厳密には、職場の知人にハロウィン用の仮装アイテムないかな?と問い合わせての「変身」であって、彼女の様に本当の狼に変身した訳ではないけれど]
君はただ、「人間に変身できる獣」と「自分も変身すること」に興味があって声を掛けてくれたんだと思っていたから、僕は君が信じて疑わない侭に、「人間に変身できる獣」であると、君に嘘を吐いてしまった。
そうすれば君に興味を持って貰えると…仲良くして貰えると思って、ね。
けれどもう、嘘はこれっきり、二度と吐かないと誓うよ。
だからさ、嘘吐きな僕を許して、僕と友達になってくれないかな?
[握手を求めて手を差し出せば、彼女は応えてくれただろうか?]