『お前は此処を出たいとは思わないのか。』[入隊してひと月が経った頃、久々の夜伽の後に王子にこう聞かれた。恐らくはイドにでも、様子を見させていたのだろう。]いいえ、思いません。[笑顔で首を振る男に、王子はさらに問いを投げ掛ける。]『自由になりたいとは思わないと?』王子、人には色々な思いがあるように、それぞれに信じるところがあります。ですから俺が此処を‘楽園’と思うなら、俺にとってはそれが真実ではないかと。