― 回想・ベルサリス学館 ―
[だんだんと暖かく過ごしやすい日が増える季節。
キールを含む女生徒たちから羊羹をもらってちょうど1か月後――]
お前ら、今日の授業が終わったら職員室にちょっとこい。
[自分の担当の授業が終わったあと、彼女たちをそう呼び出した。
あれから彼女たちの言っていた外の国の風習に興味を持ち自分でも調べてみたところ。
女の子たちからお菓子をもらったお返しにプレゼントをする風習があるらしかった]
(貰いっぱなしっていうのもなぁ……)
[そう思っていたところだったから、風習とあらば好都合だった。
感謝の気持ちなのだからやはりお菓子で返すべきかと、休日に珍しく菓子を買いにいった。
選んだのは春の香りがする桜餅。
それを一つ一つ丁寧に菓子店で包装してもらい、お返しする人数分を用意した]