風花の村の人狼には、情と呼ばれるものが存在した。我々と同等の、あるいはそれ以上の繋がりを持ち我々と同等の、あるいはそれ以上の葛藤を持つ彼らは人のように泣き、人のように笑い、人のように愚かしい。故に、我々は彼らと相対せねばならない、彼らを狩らねばならない。どれだけ人と変わらなくとも、人以上の情に溢れていても、一度獣の本能に飲まれれば彼らは人を食むだろう――…それこそ村が滅ぶまで。それが人狼という生き物の性なのだと、少なくとも私は思う。