["今の季節は苺です Lisa"彼女からの答えに、自分には好きな果物はあっただろうかと思い巡らせる。彼女が嫁ぐ日まで、果たしていくつ知ることができるかはわからない。それでも、花と手紙が届くたびに、可愛らしく気取らない"もの"の名称が、決して手の届かぬひとであった彼女の輪郭を少しずつ描いてくれるようで。目に見える文は残らずとも、その一枚一枚が重なるのと同じ速度で、静かに想いは積もっていった。]