クレメンスは私に言った。
「貴方が頼るべきは本ではない」「もっと皆を信用してやって下さい」と。
だが、分かってほしい。
この国に、私の事を認めてくれているものがどれほどいるというのだろう。
もう頼れるのは、側でこうして真剣に話を聞いてくれる1人しかいないのだ。
思うように行かない隣国との和平交渉に、気持ちが急いているかもしれない。
しかし、数多の問題を回避しながら、これを成し遂げることが出来れば。
全てを正しいレールに乗せることが出来る。そんな未来を知ることが出来れば。
先王の遺志を継ぐ王だと、認めてもらえるのではないか。
信じているからこそ彼に託す。
だから絶対に、生きて、帰って来い。