私は何名かの臣下を個別に呼んで、この事を話した。
「誰を行かせるべきか」と全員に問うた。
皆が皆、そんな途方もないものは実行すべきではないと進言する中、ある一人の男だけが、「クレメンスを」と言った。
そうかなるほど。
この者が邪魔に思うのは、クレメンスなのだな。
私が彼に信頼を寄せている事など、きっと興味もないのだろう。
こいつは己が利の為に動く者だという事が今分かった。
先王暗殺の手引きも、こいつの手によるものに違いない。
ある男がクレメンスを推挙したという事を、本人に話した。
彼はその男の事を親友だと思っていたと言い、悲しげな表情を見せている。
表向きは、私が男の言葉を採用し、クレメンスを旅立たせたという事にしよう。
そして私は、男に操られる振りを演じ、どこかでその仮面を剥いでやるのだ。