[…は放り込まれた部屋で、枕を吸った。少し埃っぽくかび臭い。]
あの仮面は、どうしたら使えるのだろう。
わたしたちの子供に、と話をしていたのに、恋人は逝ってしまった。
[…は昼のことを思い出していた。
仮面を手に、ユーリエの眠る教会へ足を運んだが、元気をなくした百合の花と共に眠る彼女の姿しかなかった。]
ああ、彼女の眠りを邪魔してはいけないね。
うん、君は眠っているだけなのだろう?
ふふ。目を覚ましたら狼に気づかれてしまうからね。
わたしが村を平和にするまで、少しの間、眠っていてね。
[…はユーリエに接吻ける。]
[腐敗臭の漂う哀しい教会よりも、今はこのかび臭さの方が幾倍かマシに思えた。]