[深淵に堕ちた意識は己の置かれた状況や、周囲の動きを知る由もなく。ゆらり、ゆらりと、漂っていた。あちらから呼ばれたような、と思えば、どこからか引きずられ。じゃあそっちに行けばいいのか、と思えば違う方へと呼び寄せられる。それが容態の一進一退を表しているとはさすがに気付く事はできなかったが。そんな事を繰り返している内に、ふと、声が聞こえた]