目を閉じてベッドに仰向けになっていると、施設での記憶が蘇ってきた。
通常、廃棄される館内スタッフはほとんどが寿命によるものだった。
ある程度は寿命の予測を施設の方で出来るらしく、それに合わせ大体1週間前くらいに生育ポットから新しい人工生命体…つまり私達を出して、そこからみっちりと該当部署に沿った教育カリキュラムを受けさせる。
廃棄された者と入れ替わりにここに来る時はもう既に即戦力として使えるようになっている、というのが一通りの流れらしいのだが…今回の彼の廃棄は少しだけイレギュラーだった。
なんと施設で予想していたよりも5日も早く彼は亡くなってしまったらしい。
お陰で施設内は大騒ぎだ。
何せ彼の後任としてポットから出された私は、まだ2日分の教育カリキュラムしか受けていないのだから。
とりあえずは『ここだけは押えておけ!あとの細かい事は現地で聞け!』スタイルで、重要な部分だけをここに来る直前まで頭に叩きこまされた。
私の担当教官は相当慌てていたらしく、顔を真っ赤にしてこれでもかというくらい早口で私に色々と教えてくれたが……興奮して喋っていた為だろう。
時折、私の顔に唾の飛沫が飛んできた。