[元々活発な子供だった故、逃げる足も速く大人達は此方を見失う。
侍女や給仕達が慌てながら此方の名前を呼びながら王宮の中を探し回っていた。
此方は子供は入ってはいけない、と言われてる王の間に、王座の背後に小さな身を隠しながら、嗚咽しながら悲しみに堪えている。]
ぐ、……ひっ、く……う、っく。
[泣きじゃくっても泣きじゃくっても止まらぬ涙。
いくら拭っても決して収まってくれないけど、泣けばなくだけ頭がぼーっとしてきて瞼が重くなってくる。
気が付いたら泣き疲れて眠っていた様だ、幼子が次に目を覚ますのは寝室のベットの上だが。
その前に父が此方を見付け、抱き上げてから寝室まで運んでくれた事は知らない。
父の大きな手が此方の癖がある毛を優しく撫でてくれな、なんて気付く事もなく眠り続けていた。]