[うっとりと眺めていて、我を忘れていたのだと思う。]「ヴェルナー!」[友人の切迫した声が背中に届いた時には、もっとよく見ようとつい乗り出した身体が大通りへ──王の隊列の側へ、身体ひとつ分ほどはみ出してしまっていた。]……っ![すぐに一歩退けば、恐らくどうということはなかったのだろう。けれど、非日常の空気に怖気ついた身体は思うように動かなくて。]「お前、何をしている!」[数秒後、隊列が止められ剣先を向けられるまで、突っ立ったままでいてしまった]