[朱に染まる指先は冷えて感覚を失って。その細い指に視線を落とす。この手は悴んで痛みすら感じなくともヒトの身を引き裂ける。────ワタシハ──── ────オオカミダカラ───ヒトを殺めることにその胸は痛み、しかしヒトの肉と血を欲する抑えきれないその衝動とを抱えた小さな身体はもう張り裂けそうになっていた。]ギィ………[顔を上げ、何かに縋るように愛おしい名前を呼ぶ。しかし彼が近付こうとすれば、一歩後退ることだろう。来ないで…来たら私は貴方も……声にならない声。]